酒ごときで生きづらい-怒りのデスロード-

下戸のイラスト

 

いまだ一度も酒を飲んだことが無い。
成人してから数年経ったが、酒は一滴も口に入れていない。

 

幼少期、これは自分の人生を不幸にするものだと気づいてから、決して自らは飲まないと決めたのだ。

 

しかし、このポリシーは共感を得ないし場を変な空気にしてしまうため、酒を勧められても
「いやぁ、あんまり得意じゃなくて飲まないんですよね(^^;タハハ」
とはぐらかしたりしているのだが、うっかり口走ったもんなら…
「もったいない!経験として一度は飲んだ方がいいよ^ ^」
などと宣って、挙句の果てにはその場で一口飲ませようとしてくる輩が居やがる。

 

いやいや、その一口を避けてきて現在の僕があるのです。
タバコを吸わない人に対しても「経験^ ^」と言うんですか?
とても思慮に欠ける言動だと感じる。

 

こと酒になると、人は呆れるほど自己中心を振りかざす。

 

酒カス テンプレート5選!

①酒飲んだ方が腹割って話せるじゃんw
いいえ。真剣な話がしたいなら、頭使ってシラフでお話ししましょう。
"熱い話"とは?酔わせて何聞き出すつもりですか…こわ。

②酒入ってたから覚えてないなぁ
くず。アルコールを理由にすれば許されると思っている。
これを言われると人間性を疑ってしまう。信用は完全に失われたと思ってください。
というか、話した内容も覚えてないだろう。

③二日酔いなどのせいで予定を断られる
アルコール抜くためにしばらくは運転できない~とか、もう知りません。

④くさい
シンプルに息が臭い。
ちょこちょこ「ゲフッ」と小爆発するのも下品。

⑤オロロ…
言うまでもなく汚い。
周りに迷惑をかけないでくれ。心配させないでくれ。

 

なぜ僕が酒を敵視しているのかというと、数々の地獄を見せられたからである。
最も古い記憶は―

 

『地獄の誕生日』
幼稚園生の頃、父親の勤めている会社の課で家族合同のバーベキューがあった。
そして、その日は僕の誕生日でもあった。
父親の同僚にかわいがっていただき沢山遊んでもらい、とても楽しかった。
父親は、酒を飲んでいた。
そのため、夜遅く僕たちふたりを母親が車で迎えに来てくれたのだが、これが地獄の始まりだった。
車に乗り込む前から明らかに顔色が悪い父親。後部座席に座ると、近くにあった薄手のビニール袋を手に取り、ミニゲロを吐き始めた。
粘度のある塊がビニール袋の壁にパシャ、パシャと音を立てて落下した。
僕は助手席で母親の怒りをビリビリと感じた。肌を焼かれるようだった。
「馬鹿じゃないの…」
そう母親がつぶやくたび、息を飲んだ。
家に帰ると父親はすぐ寝た。母親の苛立ちはしばらく収まらず、ソファの上で静かな怒りが鎮座していた。
リビングの薄明りの中、僕はひとりでバースデーケーキを頬張った。

 

このような仕打ちを人生で散々受けてきたのだ。
すべては酒のせいで。

自分の健康を保つために絶対に飲まない。

しかしそれ以前に、自分にとって奴は邪悪な存在だ。

 

これから先、誰ひとり共感してくれないとしても、僕は自分の意思を曲げるつもりはありません。