トライガン 全2巻(完全版)
読みました。
もともと内藤先生の『血界戦線』が好きで、前作の『トライガン』はいずれ読まなくては、と思っておりました。そして、先日ついに全巻購入し、1日1~2冊くらいのペースで楽しんでいました。
面白すぎました!
物語冒頭部分ではストーリーの方向性を捉えることが難しかったのですが、話が進むにつれて主人公・ヴァッシュのバックグラウンドや、背負っている因縁が明らかになっていき、それがまた重厚なので読む手が止まりませんでした。(やらなくてはいけない仕事もあるので気合で止めました)
『血界戦線』は毎回話がキリよく終わるので、ゴタゴタしていてカオスなところが作品の魅力そのものであるのですが、今回読んだ『トライガン』は主人公の目的と、ストーリーの主軸となる骨があるので物語の疾走感がとても心地よかったです。
まあ『トライガン』のほうを後に読んで今さら何言ってんの…って感じかもしれませんが。
以下、普通にネタバレあります。
まず、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが主人公としての魅力に溢れています。
僕は本作について本当に何の情報も知らずに読んだので、展開が進むにつれて…ヴァッシュってもとは地球で生まれたの?いや、まさか人間ではないの?えー、プラントって!?と至極素直に転がされました。
不殺の理由が、出会った人間すべてを家族と思っているからというのが、スケールとしてすごく壮大でひとりだけで背負っている十字架の重さも表していて、ずっとヴァッシュのことを好きでいられました。
僕は『血界戦線』においてレオは主人公というわけではないと思っているのですが、作品ではレオについての背景が一番詳細に描かれています。それに対して、クラウスやザップの過去については全くと言っていいほど語られておらず、もっと主要キャラの深堀をしてほしいなーという感想を抱いてしまいます。(ツェッドは何かとフォーカスされること多いね)
それで『トライガン』の話に戻るのですが、ヴァッシュの他にもナイブズ、ウルフウッド、GUNG-HO-GUNSたちの背景にフィーチャーしているシーンが多く、それぞれのキャラクターに共感することが出来ました。
僕は特にウルフウッドが大好きになりました。
孤児院の頼れる兄貴・ニコ兄から「ミカエルの眼」として生きていくまでの経緯がすごーく重くて、リヴィオとの決戦ではページをめくるたびに胸が締め付けられました。
武器もかっこよすぎます。内藤先生の描く武器・機械のデザインやそのディテールは本当に洗練されていて説得力があって大好きです。また、「ミカエルの眼」の刺客が初登場するエピソードに裏切り展開が挟み込まれていて、まんまと踊らされました。だってダブルファングとか言ってるから素直に2本の牙生えてるやつのことだと思うじゃん。流石です。(土下座)
話の終盤まで死んだウルフウッドを思わせるシーンや、ヴァッシュとリヴィオが彼のことを思い続ける心情の様子が描写されているところが好きです。『ヒカルの碁』では佐為が全く出てこなくなってヒカルも静かになっちゃうってことがあって寂しかったので。
話のキーになるナイブズはずっと酷いことをしているのだけれど、何故そのような行動をとるのかが理解できるので人間を惨殺しているシーンでも憎むことができませんでした。
ナイブズは最初から最後まで、同じプラントとして、ただ一人の兄としてヴァッシュとは共に生きたいという思いがあって、ヴァッシュもそれを理解しているのだけれどお互い正反対を向いていいて…というのが心苦しかったですね。
ナイブズは、彼は彼で優しすぎたのだと思います。プラントたちの扱いに心を痛めつつ、人間以外には敬意を示していますし。人間の罪が彼を傷つけ憎しみを生んだのですから、それを思って最初から読むと一層悲しくなります。
今年製作された新アニメ版の『トライガン・スタンピード』も是非観たいです。
原作を読み終えてさっそくPVを観てみたのですが、かなりキャラデザが変わっているようでした。(チビヴァッシュとナイブズがオカッパ?)
ミリィ映ってなかったけど居ないのかなー、大好きなのに。
ウルフウッドの声はハマりすぎてて惚れました。
少し乗り遅れた形なので、配信サービスで始まるのを期待します。でもネトフリしか入ってないから微妙なところですねー。
素晴らしい作品に出会うことが出来ました。
それではまた。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラー。(淀川長治)