好きな漫画を遡ると少年時代が蘇る【漫画の思い出①】

人生で初めて読んだ漫画を覚えていますか?

僕は覚えていません。

ですが恐らく『てれびくん』か『テレビマガジン』に掲載されていたポケモンの漫画やへろへろくんであると思われます。

初めて読んだ漫画は覚えておりませんが、初めて知った漫画家は明確に覚えています。

 

 

小学校に入学してすぐ、テレビで手塚治虫先生の特集番組が放送されていました。

その時初めて、漫画を生み出す"漫画家"の存在を意識したことを覚えています。

その番組を視聴した翌日から、僕は手塚作品を読みまくり、週末に地元で偶然開かれていた手塚治虫展に母と訪れ、全身に刺激を受けました。

自伝漫画において、医学生時代の手塚先生は講義中も漫画を執筆しており、インク壺が教室を転がり教授にバレてしまい原稿を取り上げられるというシーンがあるのですが、転がるインク壺から流れる黒い線がなぜか印象深く少年の目に焼き付いたのを覚えています。

 

 

それと並行して、小学生時代の大半を共にすることになる、ある雑誌との出会いがありました。

 

『ケロケロA(エース)』

 

この名を知っている人間がどれほどいるだろうか。

当時、子どもたちの多くは『コロコロコミック』を購読していたことでしょう。

そんな中、小学生時代の僕は書店に入るなり小学館には脇目も振らず、駆け込む先は角川。

思えば、幼稚園生のときに購読していた『ケロロランド』からの内部進学です。

生粋のケロロ軍曹ジャンキーな子供でありました。

(ケロロの軍帽を被っていたし、本気でケロロ小隊に入りたいと思ってた)

同じ学校の子供たちが読んでいるのはコロコロで、そのため至極当然、話題には着いていけませんでした。

   え、みんな『うんP先生』知らないの?

   『アクジキ』の最終回泣いたんだけど…。

   今月の『千邪の封魔師』かっこよかったー。

ほかにも『バトルスピリッツ』『プリマオ』『たまごさん』『からアゲ』『千年太』『ライ太くん』『ゾンビの神様』『アングラ―ヒーロー』etc

少年だった僕の日々を面白くしてくれた作品たち。ありがとう。

 

 

そして、小学生の頃はとにかく暇だったわけでして、他にも膨大な数の作品に触れました。

その主要因があの男。我が父。

男は少年時代に収集した漫画作品を今も大事に保管しており、その数推定うん千冊。

それらの内訳は70~80年代の作品が大半を占めていました。

 

『魔太郎が来る!』『ブラック商会変奇郎』『黒ベエ』など、特に藤子不二雄Ⓐ先生のダークな展開、珍奇な骨董品、不条理なストーリーが少年の心を掴みました。

父の漫画を読んでいる時は、僕の隣にもうひとりの子供がいる感覚でした。

当時その漫画にリアルタイムで熱中していた父、あの男の少年時代の姿を感じながら、学校の子供たちとは共有できない楽しみをふたりで分かち合っていました。

 

『黒ベエ』に収録されている話の中にミチオという少年が登場するのですが、彼はドンくさくていじめられっ子の気弱な少年。

しかし、ポケットに隠した手帳には、自分をイジメたやつらの名前・行動・評価がびっしり記入されており、評価が閾値に達すると恐ろしい復讐へと動く…という話でした。

因みに初期の魔太郎もこんな感じ。違いは粘土と魚拓くらい。(わかってくれると嬉しい)

大きな声では言えませんが、小学生の僕は彼に若干の憧れを抱き、少しだけ真似をしました。

ですが、手帳の記入は面倒だし、イジメられているわけでもなかったし何も起きないまま自然にやめました。

 

そんな小学生時代の思い出。

暇とは言ったものの、実は中学受験のため毎日塾に通ったりもしつつで、日々の癒しが漫画でした。

次回は思春期を迎えた少年が夢中になった漫画の話です。

 

それではまた。